組織開発を検討するタイミングとは?

はじめに: 「何かモヤモヤする」が最初のサイン

ベンチャー企業の成長は、スピード感が命です。事業拡大、新サービスの開発、採用・育成、資金繰り、社内の仕組みづくり…。社長としては、目の前の業務に全力を注ぐ日々が続くでしょう。しかし、ある日ふと「何かがうまく回っていない気がする」と感じることはありませんか?

  • 以前よりも社員の表情が少し硬くなった気がする
  • 自分の意図が伝わらず、会話がかみ合わないことが増えた
  • チームの一体感が薄れ、仕事がバラバラに進んでいる時がある
  • 誰がボールを持っているかわからない状態が度々起こる。以前は主体的にボールを拾いにいっていたのに、積極的に拾う人が減ってきている。

この「なんか今までと違う」というちょっとした違和感こそが、組織開発を考えるべき最初のサイン です。

経営の最適解を求めていると、数値や明確な課題がなければ動きにくいかもしれません。しかし、組織の問題は、データに表れる前に「感覚」で現れるものです。この違和感の正体を探るのに、対話の場を設けることが役立ちます。

本記事では、組織開発が必要な3つのタイミングを、具体的な事例とともに解説します。

1. 違和感を感じたら、それがサイン

事例: 売上が伸びているのに、なぜか「楽しくない」

創業5年目のスタートアップX社は、順調に売上を伸ばし、社員数も急増しました。しかし、創業時の「勢い」や「熱量」や「主体性」がどこか薄れてきたと、社長のAさんは違和感を抱いていました。

  • 以前は社員同士が自然にアイデアを出し合っていたのに、最近は会議が静かになった
  • チーム内で「これは自分の仕事じゃない」と線引きする雰囲気がある
  • 社長が話すと、みんな頷くが、実際には動きが鈍い

この違和感を放置していると、いつの間にか「普通の会社」になってしまいます。ベンチャー企業の強みは、個々のエネルギーと創造性。しかし、それが薄れてきたときは、組織開発が必要なタイミングです。

組織開発のアプローチ例

  • 「どうしてこの会社にいるのか?」を再確認する場を設ける
  • メンバー同士が本音で話せる対話の場をつくる
  • 仕事の「役割」だけでなく、「このチームの一員であることの意味」を再認識する場を設ける

違和感の正体は、数値ではなく人の中にあります。本音を引き出す対話は、組織が変化(進化)する第一歩であり、重要なことです。

2. 「社長が見えなくなるもの」が増えてきた

事例: 30人を超えたら、組織の「氷山」が大きくなる

成長期の企業では、社長が全社員の動きを把握することは徐々に難しくなります。特に社員数が30人を超えると、社長が知らない問題が増えてくると言われています。

BtoBサービスを提供するY社では、社長のBさんが「うちはチームワークが良い」と思っていました。しかし、現場ではこんなことが起こっていました。

  • 営業チームと開発チームの間で不満が溜まり、陰で愚痴が出ている
  • 新入社員が「社長が何を考えているのかわからない」と話している
  • 仕事を進める上で「どう決めたらいいかわからない」と迷う場面が増えている

ここで参考になるのが「氷山モデル」です。 社長が見えている問題は、組織全体のほんの一部。水面下には、「言語化されていない問題」「言いたくても言えない不満」「対立の芽」が広がっています。

組織開発のアプローチ例

  • 「社長が見えない部分」を可視化するため、社内ヒアリングを実施する
  • 部署間の対話の場をつくり、相互理解を促す
  • 「心理的安全性」を高める環境を整え、本音で話せる組織にする

組織が成長すればするほど、社長が見えなくなるものは増えていくものです。対話型アプローチは組織の氷山の表に出てこない問題を可視化することができます。見えない部分を「意図的に」把握していくことが、組織の現状を理解するための鍵となります。

3. 大丈夫だろうと放っておけば、問題は必ず悪化する

事例: 「まあ、そのうち解決するだろう」と思ったら、手遅れに

Z社では、創業期からのメンバーが急に辞めるケースが続きました。社長のCさんは、「忙しかったし、たまたまだろう」と思っていました。しかし、振り返ってみると、その前から以下の兆候がありました。

  • 重要なポジションを担う人のモチベーションが落ちていた
  • 「これってうちの会社らしくないよね」という会話が増えていた
  • 社員数が増えたことにより、社長と創業期メンバーとの会話量が以前より減った

組織開発のアプローチ例

  • 「最近のチームの状態」を振り返る場を設ける
  • 社員が感じている課題やモヤモヤを早めに拾う仕組みをつくり、問題が小さいうちに手を打つことで大きな組織崩壊を防ぐ
  • 新入社員、創業期メンバー、社長などあらゆる関係性の中で対話を設ける

組織の崩壊は、突然ではなく、静かに進行します。だからこそ、早い段階で対話ができる環境をつくることが重要です。

まとめ: 組織開発を検討するタイミング

  1. 違和感を覚える場面が増えてきた時。
  2. 経営者の目が届かないことが増えてきた時。
  3. これまでうまく回っていた事柄が、機能しなくなり始めた時。

「今、何か違和感がある」と感じているなら、それは組織開発を検討するタイミングです。小さな違和感のうちに、意図的に手を打っていきましょう。

MATSURIでは、組織の違和感に向き合うための無料相談を行っています。小さなことでも、お気軽にご相談ください。